釣魚譚
地元がどこかは言うつもりはないのだが、先日、地元の海の釣り人に話かけてみた。
イカとクロダイが比較的釣れる場所なのだが、訪れた日は、イカ釣り一人、フカセ釣りでのクロダイ狙いの父子3人、サビキでカサゴ狙いをする中学生1人がいた。
この日、面白い話を得られたのは、イカ釣りの老人だ。
この田舎の堤防に珍しくも鮫が回ってきているそうで、イカ釣り用の鯵と仕掛けが5000円分ほど犠牲になったらしい。
ワイヤーの仕掛けに替えて鮫へのリベンジを果たし、1.5mの魚体を地上に晒した勇姿を、老人は携帯に収めていたものを見せてくれた。
地続きの海といえど、遠洋と変わらぬひとつの海。
日が変われば違う姿を見せてくれる。
だから面白い。
ウキも見ずに、私と話をしている間にこちらを見て楽しそうに話をしてくれた老人。
話の最中に、鮫を掛けたが、ワイヤーを使わなかったためにバレてしまった。
子供が老人のもとに集まったので、話をしてくれたことに感謝の旨を伝えて別れる。
その先で海の様子を眺めていたおっちゃんにも話を聞いた。
彼は一人でよく釣りに行くようで、父親とよく釣りに行く私に、いけるうちに父親と釣りにいってあげなさいと忠告。
彼も父親から釣りを教わったが、一人立ちしてからは一人で釣りに行くようになり、父親とは行かなかったそうだ。
今、彼の父は手元が覚束なくなり、体力も衰え、釣りをしたくてもできないという。
共に釣りに行っていればよかったと、今後悔しているようだった。
海でたった二人と話をするだけで、釣りの楽しみかたと、後悔しない人生の歩みかたの手がかりを聞かせてもらった。
また訪れて、色々な人から様々な経験を聞き、自らに活かしたい。